合説どっとこむ編集長コラム「就職力は面接力」

グループディスカッションは司会が圧勝

兵頭 秀一2023年06月28日20時31分

〜1万人との面接でわかったこと:その2〜

グループディスカッションは司会が勝つ。正確に言うと「司会が圧勝する確率が極めて高い」。

理由は3つある。

1.2:6:2の法則
面接評価は多くのケースで2:6:2現象が起きる。これは当社の面接力養成就活講座の1万人の模擬面接でも立証されているし、筆者がかつて4社で企業の人事担当を務めた3000人以上との面接でも再三体験してきたことだ。「誰が見ても優秀が2割」、「誰が見てもNGが2割」、「面接官によって評価が分かれるが6割」なのだ。5人の受験者がいたら高確率で合格となるのが1人、高確率で不合格となるのが1人、運やめぐりあわせで合否が不安定に揺れるのが3人となる。グループディスカッションは4人~8人前後のグループで行われることが多い。数学的に言うと上位2割に該当するのは1位だけである。1位については「高確率で受かるだろう」といえる。2位は「受かるかもしれないし落ちるかもしれない」のである。

2.リーダーシップの重要性
即戦力性は強く要求されない新卒採用。ただ勉強ができれば良いというわけではないし、ただ人柄が良ければいいというわけではない。そんな新卒就職の世界において最強で無敵の資源性が一つある。それは「リーダーシップ」である。リーダーシップについてここでは「敬服される状態を作る力」と定義する。リーダーシップを有する学生は内定を獲りまくる。リーダーシップを有している人材が普通にきちんと就活をした場合、内定ゼロで卒業する可能性は現在の就職戦線では「ゼロ」と断言しても良い。その理由は次の4つ。
①リーダーシップはすべての職業に必要、②リーダーシップ教育は学校教育にない、③リーダーシップ教育は入社後の社員教育にもない。④リーダーシップがあること自体が能力とエネルギーと人間性が一定のレベルを有していることの証明。だからそれを持っている人材の価値は無敵なのだ。

3.リーダーシップが最も発揮されるのは「司会」だから
会話においてリーダーがとる立ち位置は「指名、質問、感想、相槌」であり、フォロワーがとる立ち位置は「回答、意見」である。「指名、質問、感想、相槌」はまさに司会の仕事であり、「回答、意見」は一構成員の仕事である。会議では司会が常にリーダーなのだ。

実際の進め方を紹介する。次の手順で進めればよい。グループディスカッションが始まったら始めに「私が司会をさせていただいていいでしょうか」とソフトに立候補する(これで90%以上の確率で司会の座は獲れる)。次に「今回のテーマについて皆で意見交換をしたいと思います。早速ですが**さん意見ありますか?」と指名、質問をする(指名することでリーダーシップが強く見える。あえて挙手を求めない)。つづいて「ふんふん」など声を出して相づち(声を出すことで司会の存在感が強化される)。そして「なるほど面白い意見ですね。私にはその視点はありませんでした」と感想を言う(ここであなたの意見、意志が表現できる)。さらに「それに対して****さんはどうですか?」と別の人を指名し、同じことを繰り返す。つまり「指名」「質問」「相づち」「感想」を繰り返すのだ。最後に残り1~2分位となったところで「では時間が迫ってきましたので皆さんの意見をまとめますとこういうことですね」といえば完全なリーダーだ。

面接力養成就活講座では上記のことを教えており「講座参加後のグループディスカッションは全勝でした」という就活生からの報告も多数いただいたが、そんな中でも学生からよくいただく質問があるので紹介しよう。

質問例1:「司会を誰かに獲られたらどうしたらいいですか?」
第二の司会者の立ち位置を獲ればよい。テレビ番組では司会者が複数であることは珍しくない。それを参考にするとコツはすぐわかる。

質問例2:「司会でも落ちる場合はあるのですか?」
よほど空気が読めない人が場を乱すような司会進行をしたら落ちる。しかしその場合その人はそもそも著しい力不足と言わざるを得ない。この人が受かるグループディスカッション必勝法などない。

質問3:「書記とかタイムキーパーじゃだめですか?」
書記やタイムキーパーといった「縁の下の力持ち」という立ち位置を演じるのは2位狙いの戦略である。2位は「受かるかもしれないし落ちるかもしれない」。戦う前からその位置を狙うこと自体がそもそもイタイ戦略ミスなのである。

以上の話を意識して人気テレビ番組の「アメトーク」などの司会者複数+ひな壇芸能人で構成されるトーク番組を見てほしい。こういった番組は実はグループディスカッションの最良の教材なのだ。

合説どっとこむ主催の「面接力養成就活講座」は開催5年目を迎え、累計の参加者数は1万人に到達した。この講座は4社で10年以上に渡り人事部の採用責任者を務めた筆者の経験と知識をもとに構成され2011年にスタートした。だが、現在に至るまで1万人以上の受講者と深く接することでわかったことも多い。そのことも反映され、講座の内容は進化を続けている。1万人も見ると「面接に勝ち続ける優秀層にはこういった特徴がある」と断定できるのだ。それらを順次ご紹介していきたい。

・面接力養成就活講座
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