合説どっとこむ編集長コラム「就職力は面接力」

2007年、合説どっとこむ創業物語

兵頭 秀一2024年02月27日12時29分

写真は合説どっとこむの開発を始めた2007年夏、創業時のものです。就職サイト「合説どっとこむ」の開発はここで始まりました。場所は当時私が住んでいた台東区のマンションの一室。その時、私は41歳。あるIT企業で人事部のマネージャーを務めていました。3回の転職を経験している私の会社員としてのキャリアはそのほとんどが人事部の採用責任者です。

写真に写る6人はエンジニアとして駆け出しだった若手仲良しグループ。この数週間前、そのリーダー格の青年と2人で飲んだ時が全ての始まりでした。彼から「エンジニアの勉強会をやりたい」という相談を受けました。

そこで私はこう提案しました。「単なる勉強会では長続きしない。就職サイトの案があるからプロジェクトとして本気で開発をやってみよう。場所はうちのマンションを提供する。山手線の駅から近いから皆が集まるためのアクセスもいい。」と。

人事採用担当者という立場から日本中の合同説明会の情報を一元化したサイトがあれば、求職者、人事部員、学校の就職課の方多くの方から支持されると考えていたのです。当時はそういうサイトが存在していませんでした。

プロジェクトのメンバーは全員が会社員でした。なので毎週土曜日だけ集まる「週末起業」という形式を取りました。当初は全員無報酬。交通費も自腹。自由度の高いサークルのような不安定な集まりです。

しかし奇跡が起きます。メンバーの中からタスク整理に長け、仕事をやり切ることができる優れたプロジェクトリーダーが現れたのです。それが現在も執行役員として在籍してくれている女性です。彼女との出会いは起業家を夢見ていた私に神様がくれた大きなプレゼントだと思いました。

そして彼女のリードによって数ヶ月で合説どっとこむは完成。翌2008年の2月22日に株式会社を設立し、今日に至ります。

こうしてできた合説どっとこむ。そもそも開発コストという予算すらありませんでした。これまで国内に存在した数多くの就職情報サイトの中で最もローコストで立ち上がったサイトだったのではないでしょうか。まさにITベンチャーの極みともいえるものでした。ベンチャー系の企業が起こした就職情報サイトは当時からたくさんありましたが、今も創業者が事業を続けているのは合説どっとこむくらいかもしれません。

創業時の6名で今も当社に残っているのは1名だけですが、他の5名とは今でも連絡の取れる良好な関係を続けさせてもらっています。当時ほとんど30歳以下でエンジニアとしては駆け出しだった彼らも今では立派になりました。

私はエンジニアではないので就職サイトを作る事はできません。人事部の採用担当を長年経験した立場でこのプロジェクトをマネジメントしてきました。あとは資金を出して、パソコンを揃え、事務所の環境を作り、仕事の日はお茶菓子を用意して、局面ごとに意思決定、という役割を担うだけでした。パソコンも1台2万円後の中古パソコンを私のポケットマネーで買いそろえました。

彼ら仲良し6人組との出会いがなかったら私は起業家になれていなかったでしょう。この原稿を書いた2024年2月22日は合説どっとこむを運営する株式会社ちかなりの創立記念日にあたります。人間の誕生日は自分を産んでくれた親への感謝に浸る日ですが、会社の設立記念日は私にとって創業時メンバーへの感謝に浸る日です。16年も経つと本当に感慨深いものです。

法人の寿命は無限です。そこが人間との違いです。株式会社ちかなりを永遠に死なない会社にすることが私の最大の使命。まだまだ戦いは続きます。私が長生きできたとしても私が会社より先に死ねるよう、引き続き頑張ります。