採用基準ではなく不採用基準
兵頭 秀一2020年04月16日19時57分
プロ野球史上最高の選手といっても過言ではないイチローさんは1991年のドラフト会議でオリックスの4位指名でした。全体では41番目の指名だったそうです。あれほどの大選手がドラフトで40巡も見逃されていたのです。一方、一軍の舞台を踏むことすらかなわなかったドラフト1位選手はたくさんいます。人の将来を読むこと、特に成功する人を事前に予想することは難しいということです。
江戸時代の大名が残し、近年では野村克也さんの座右の銘として有名になった「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」という名言は採用の世界でも当てはまります。
私も採用担当としての経験が浅かったころは「スーパースター候補の発掘」に夢中でした。しかし実際には毎年のように「採用して失敗だった」というケースの方が目の前に続出し自分を苦しめていきます。内定辞退や早期退職などはこれに該当します。そこに向き合って反省を重ねていくと採用失敗の理由は徐々に明確になってきます。やはり失敗には理由があるのです。負けに不思議はないのです。
かたや採用時や若手時代には全く目立たなかった人が大出世を遂げることは珍しくなくあります。ですが大出世した人の採用時評価の共通法則みたいなものはどこまで研究しても明確にはならないのです。プロ野球の歴史がそれを証明しています。
採用の真のプロが採用活動で明確にしてしている基準は採用基準ではなく不採用基準なのです。