就活情報の格差がより広がる
高田 晃一2018年09月12日12時00分
経団連の中西宏明会長が、現行の就活ルールを2021年卒にて廃止する考えを発表しましたが、大きな反響を呼んでいます。
まだ発言の段階のため、実現するのかどうかはわかりません。
しかし、実現したと仮定して2021年卒採用は何が起こるのか、ということを過去の事例から紐解いて検討してみます。
今回は「学生に対して、何が起こるのか?」ということです。
絶対に起こることは「情報戦の激化」です。
リクナビやマイナビといった大手ナビサイトがオープンする前に如何にして、志望する企業から内定を獲得するための情報をより正確にたくさん掴めるのか、ということが就職活動の成否を決めるということです。
就職活動を進めていくと「えっ、もう会社説明会があったの!?」「ウチの学校にも(あなたが志望する)企業の人が来ていたの!?」といった発言をたくさん聞いてきました。
これが就活ルールの廃止に伴い、もっとたくさん起こります。
更には近年、大手ナビサイトに載せることを避けて、独自の方法で採用活動を行い企業が増えています。
こういった企業に出会える方法を持っている学生と持っていない学生との格差が大きくなることが確実です。
私は2冊の自著でも述べていますが、就職活動は団体戦です。
就職活動に有利になる人をたくさん巻き込んで、就職活動をより有利に進めていくことができます。
就活ルールの廃止に伴い、もうひとつ起こることは、都会と地方との差の拡大です。
特に悲劇的になるのは、地方の就活生が、東京の有名大手企業を受ける場合です。
就活ルールの廃止に伴い絶対に起こることは、就職活動時期の圧倒的な早期化です。
極端な話し、学部1年生にも内定を与えてしまうこともあり得ます。
先日、九州の某県にある国立大学に行きましたが、雰囲気がのほほんとしているのですね。
この2019年卒の就活生もインターンシップを全くせずに3月1日になってようやく就職活動をゼロから始めている、という事態なのですが、地元の企業からしっかり内定が獲得できてしまっているのです。
こののほほんとした雰囲気に飲まれて、「東京に出ても大丈夫だろう」とタカをくくり、大失敗した(この大学に限らず)地方の国立大学生をたくさん見てきました。
これがもっとたくさん起こります。
「却って地元回帰につながって良い」という側面もありますが、やはり都会の企業を志望しているのでしたら、都会の企業から内定を獲得したいものです。
情報戦の激化にともない、これも都会の学生を仲間に入れるなど、対策を施した方が良いです。