面接対策のヒントは選挙対策にあり
兵頭 秀一2016年07月06日16時25分
政治家の選挙対策は面接対策に役立つ学習材料の宝庫である。
「私にはこんなビジョン、戦略、意欲、実績があります。だから今回仕事をするチャンスは隣のあの候補者ではなく私に下さい!」と訴求する選挙演説は面接と同じ性質を持つ。
選挙に落ちればただの人、という言葉がある。会社の面接に落ちても代わりの会社はいくらでもある。だが、政治家が選挙に落ちた時のダメージはその比ではない。だから、候補者は指導者や支援者の強力なバックアップも伴いながら万全の選挙対策をする。特に選挙ポスターの写真と選挙演説はそのクオリティが総じて高く、とても参考になる。
1.選挙ポスターは次の2点で履歴書写真の参考になる。
(1)ほとんどの候補者の髪型はおでこが出ている。
おでこを隠す人は不安を抱える人に見える。顔の面積が小さく見えることもその顔が印象に残りにくく不利である。例えば2016年の参議院選挙における自民党の候補者でおでこを隠す髪型をしているのは女性候補者2名のみ。彼女たちはいずれも著名人である。著名人はおでこを隠すことが不利にはならないのでこれでも通用してしまうのだ。だからこれは例外である。
(2)ほとんどの候補者の顔写真は力強さと笑顔が同居した表情をしている。
一緒に仕事をする人に求められることは「頼もしさ」と「親しみやすさ」である。就活においてはそのどちらか一つを保有しているだけで内定にたどり着くことも多い。しかし選考が難関であればあるほどその両方を有している方が勝利しやすくなる。選挙ポスターにおいても履歴書写真においても「頼もしく、且つ親しみやすい表情」がベストなのである。
2.選挙演説は次の2点で面接対策の参考になる
(1)アイコンタクト
選挙演説で候補者は例外なく顔を大きく左右に振って聞き手にしっかりと視線を送っている。視線は相手の心をつかむ。しかしアイコンタクトの目的はそれだけではない。自分の話が「聞いてもらえているか」「理解されているか」「納得・同意・共感されているか」を相手の目を見ることによって確かめながら話を進めていくのだ。これらがとても重要だ。どんなに熱のこもった素敵な話でも聞き手を置き去りに話を進めてはいけないのである。
(2)強い意志と意欲を熱量と断言で表現する
人は不安を持たない人についてゆく。人はできれば不安を持たない人と一緒に働きたい。不安を抱えている人とは一緒に働きたいとは思わない。聞き手の心をつかむために「強い意志を示す」「ビジョンや目標数値は濁さず断定する」「声を張る」ことは必須である。戦略、制作、能力も重要だが、もっと大事なことはその人が100%の情熱をこめて全力で誠実に仕事に取り組むかどうかだ。ここに少しでもクエスチョンが見えたら選挙など到底通らない。面接で評価されることのヒントもここにある。
この原稿を書いているのは2016年7月6日(水)。4日後の7月10日(日)は参議院選挙の日である。街中で街頭演説に遭遇したらぜひ足を止めて参考にしてほしい。Youtubeで「街頭演説」と検索すると政治家のハイレベルな演説の動画を多数視聴することもできる。こちらもおすすめである。